刺のある樹(とげのあるき)
  初出誌
1961年(昭和36年) 宝石2~7月号
 作品関連
  雑誌 1961年 宝石2~7号 宝石社
  書籍 1961年 刺のある樹 宝石社
  書籍 1963年 刺のある樹 講談社ロマンブックス
  書籍 1976年 猫は知っていた/刺のある樹 立風書房
  書籍 1982年 刺のある樹 角川文庫
  書籍 1999年 仁木兄妹長篇全集 冬・春の巻 出版芸術社
  書籍 2012年 刺のある樹 ポプラ文庫ピュアフル
 事件の舞台
   世田谷区K町・・・水原啓太邸
   代々木・・・尾永益治邸、大林医院、城西自動車教習所
   品川・・・戦前の種島庸三邸
   鷺宮・・・現在の種島庸三邸
   王子・・・種島貞勇が住むアパート
   渋谷・・・Tデパート
   大岡山・・・佐々木公平宅
   板橋・・・戦前の須川宅
   目黒・・・現在の須川宅
   赤坂・・・陸士時代の同期会が行われた料亭
   葉山・・・大林の別荘
   池ノ上・・・益治がタクシーを拾う
   青山・・・岡本税務会計事務所
   荒川・・・梨本が死亡した自動車事故現場
   銀座・・・謙三と益治が会った喫茶店
   鶯谷・・・弓子が下宿する印刷屋
   仙台・・・弓子の郷里
 あらすじ
 警視庁の砧の紹介で、製菓会社の重役・尾永益治が仁木兄妹のもとに訪れた。彼は車で轢かれそうになったり、川へ突き落されたりと命を狙われることがおこり、またここ何日かは自宅を何者かに覗かれる事象までおこったため、雄太郎を頼って相談をしたいというのだ。そこで雄太郎と悦子が尾永邸を訪ねると、益治の妻・多満子が首を絞められ殺されていた。益治夫妻は夫婦仲も良く、恨みをかうことも少なかったが、益治は戦時中におこったあることで戦友から恨まれているのではないかと語りだした。
 登場人物
仁木雄太郎 植物学専攻の学生。頭脳明晰。
仁木 悦子 雄太郎の2つ年下の妹。音大の師範科に通う学生。好奇心旺盛。
尾永 益治 種島製菓㈱代表取締役。旧姓・大竹。
尾永多満子 益治の妻。両親の死後、母方の伯父夫婦に育てられる。
尾永比那子 多満子の妹。21歳。姉夫婦と同居。
平戸 雪江 比那子の友人。「国際デザインスクール」の生徒。尾永家に下宿。
茂内 種島製菓㈱の益治付きの運転手。
きくや 尾永家の女中。
種島 庸三 多満子・比那子の母方の伯父。種島製菓㈱社長。
種島 夏子 庸三の妻。両親を失った多満子・比那子を引き取り育てた。
種島 貞勇 庸三の長男。三流新聞の記者。父に勘当され一人暮らし。
大林 尾永家のかかりつけの医師。「大林医院」院長。
大林 邦彦 大林の長男。M医大付属病院のインターン。多満子の友人。
北藤克一郎 M医大医学部教授。ガン治療の権威。
克一郎の娘。邦彦の婚約者。
須川 益治の陸士時代が同期の戦友。元・陸軍中尉。太陽製糸㈱社員。
梨森清次郎 益治の陸士時代が同期の戦友。広告代理業者の下働き。
代田真知子 清次郎の元恋人。現在はN製薬の専務夫人。
高山 謙三 清次郎の戦友。缶詰会社の社員。妻は長期入院中。
高山 常子 謙三の妹。単身暮らしの兄の身のまわりの世話をしている。
岡本 青山にある「岡本税務会計事務所」の税理士。
岡本 文雄 岡本の次男。
三男 岡本の三男。
長女 岡本の長女。
木下 弓子 元・岡本家の下宿人。「国際デザインスクール」の生徒。仙台生まれ。
佐々木公平 大岡山に住む比那子の演劇仲間。
中河 朋子 自由ヶ丘に住む比那子の演劇仲間。
源さん 尾永家に出入りの植木職人。
おばさん 水原邸の近所にあるタバコ屋のおばさん。
じいさん 「城西自動車教習所」の事務員。
奥さま 青山にある接骨院の奥さん。
郵便局員 尾永家に郵便を配達する職員。
水原 啓太 仁木兄妹の居候先の家の主人。貴金属商。夫婦で海外へ外遊中。
水原 直子 啓太の妻。オペラ歌手。
警視庁捜査一課警部補。浅黒く太った体格。